水ガラスは、珪酸ソーダや珪酸カリウムの高濃度水溶液のことです。水ガラスは、ガラスの部類に属しますが名称が示しているように、水に対する大きな溶解度のため普通のガラスと区別されます。
普通のガラスは、珪酸(SiO2)と珪酸の溶解性を上げるためのソーダ(Na2O)と水に溶けなくするための石灰(CaO)の3成分を溶融・冷却することで作られます。 一方、水ガラスは、珪酸とソーダの2成分を溶融・冷却することで作られ、普通のガラスと同じような透明性と硬さの固体になります。俗にこれを珪酸ソーダガラス(カレット)と言います。
珪酸ソーダガラス(カレット)は水によく溶けて、透明な水飴状の液体(珪酸ソーダ)となります。
珪酸ソーダの化学名は珪酸ナトリウムになります。また水ガラスとも呼ばれます。同じ物質なのに色々な呼び方があり、慣れない人は混乱するでしょう。そこで、ナトリウムとソーダの違いについて解説していきます。
ナトリウムとソーダの違い、それは、ドイツ語と英語の違いになります。
日本の化学分野では、ドイツの影響を強く受けました。元素記号のNaはナトリウム(Natrium)であり、これはドイツ語になります。一方、工業分野ではアメリカの影響を強く受け、英語が多く用いられました。英語では、ナトリウムのことをソディウム(Sodium)と呼び、ナトリウム化合物のことをソーダ(Soda)といいます。
その昔、日本がどこの国から技術を取り入れたかで、それぞれの業界での呼び方が違っていったようです。
珪酸ソーダの他にも、化学名(ナトリウム)と通称(ソーダ)の呼び方が違う物質があります。
化学式 | 化学名 | 通称 |
Na2CO3 | 炭酸ナトリウム | 炭酸ソーダ(ソーダ灰) |
NaHCO3 | 炭酸水素ナトリウム | 重炭酸ソーダ(重曹) |
NaOH | 水酸化ナトリウム | 苛性ソーダ |
これらの物質は、どれもナトリウム化合物のため、通称では〇〇ソーダと呼ばれます。
工業分野では炭酸ソーダが中心に考えられ、ソーダの中で最も重要な化学物質と位置付けられています。炭酸ソーダはソーダ灰とも呼ばれています。それに対し、炭酸ソーダと比較して比重が大きい(重い)ソーダを重炭酸ソーダ(重曹)、苛性(動物の皮膚や細胞等に対して強い腐食性・侵食性があること)な特性があるモノを苛性ソーダと呼ぶようになりました。
また、ソーダを漢字で表すと「曹達」となります。東曹産業の「曹」は、曹達に由来しています。
ちなみに、炭酸水(二酸化炭素を水に溶解させた液体)のことをソーダ水と呼びますが、このソーダ水もこの話に起因しています。
昔は、クエン酸(レモン)等の酸性の水に重曹を加え、化学反応により二酸化炭素を発生させ、炭酸水を調整していました。そのため、ソーダ水と呼ばれるようになりました。英語でもSodaと呼ばれています。
「珪酸ソーダ」には、下記のような、他の表記がされることがあります。
珪酸ソーダはさまざまな表記があるため、特許などを検索するとき、とても苦労しています。それぞれの表記に理由があるので、仕方のないことですね。
※「ナトリウム」と「ソーダ」の違いについては、Q&A「ナトリウムとソーダの呼び方の違いは?」をご覧ください。
ボーメは比重の単位の一つであり、Be’という記号を使用します。
水より比重の小さい軽液の時は、食塩の 10%溶液を0Be’とし純水を 10Be’としてこの間を 10等分し、これを拡張したものを軽ボーメとしています。
水より比重の大きい重液の時は、純水を0 Be’とし,食塩の 15%溶液を 15Be’としてこの間を 15等分し、これを拡張したものを重ボーメとしています。
比重 d とボーメ度 B との関係を式で表すと、珪酸ソーダの場合重液に該当するため、
d=144.3/(144.3-B) という式が採用されます。
実用上は、浮秤の一種であるボーメ比重計の示度として示されることがほとんどです。
珪酸ソーダの場合で説明すると、主成分であるSiO2の物質量とNa2Oの物質量を比で表したものがモル比です。
計算式は
モル比(MR)= |
|
×1.032 |
作業者は保護具を身に着け、皮膚や眼などに珪酸ソーダが接触しないよう注意する必要があります。
皮膚または髪に付着した場合:汚染された衣類を直ちにすべて脱ぎ、皮膚を流水/シャワーで洗います。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗ってください。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外してください。その後も洗浄を続け、直ちに医師に連絡してください。
保管に関しては日陰の乾燥した場所に保管してください。0℃以下では凝固することがありますが、加熱すると元に戻ります。
保管する場合、ポリ容器または鋼鉄製の容器にて保管をお願いいたします。