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珪酸ソーダ(水ガラス)の化学的性質

特異な化学変化 それが珪酸ソーダ(水ガラス)の機能をますます広げています。

珪酸ソーダ(水ガラス)は酸、無機塩類、有機化合物、炭酸ガスなどと反応し、固化(ゲル化)します。

3号珪酸ソーダと硫酸を混合し1分くらいで寒天状ゲルになる実験

酸との反応

 珪酸ソーダ(水ガラス)は、珪酸より強い全ての酸との反応によってpH値が変化し珪酸を遊離します。

 遊離した珪酸は、珪酸同士の脱水と重合が進行し、ただちに粒状に沈殿する場合や数分~数日かけて寒天状に固まる場合など、さまざまな速度で「珪酸ゲル」を生成します。図8に珪酸ソーダと酸の反応イメージを示します。

図9.珪酸ソーダと酸の反応イメージ
図8.珪酸ソーダ(水ガラス)と酸の反応イメージ

 珪酸ゲルの生成速度(ゲルタイム)は、珪酸ソーダと酸の混合液におけるSiO2濃度やpH値によって著しく変化します。

 図9から、珪酸ゲルの生成速度(ゲルタイム)には以下の傾向があります。

  • 混合液のSiO2濃度が高い程、ゲルタイムは速くなる。
  • 混合液のpH値が中性付近で、ゲルタイムは速くなる。
  • 混合液のpH値が酸性またはアルカリ性に変動する程、ゲルタイムは伸びる。

図10.珪酸ゲルの生成速度(ゲルタイム)
図9.珪酸ゲルの生成速度(ゲルタイム 20℃)

無機塩類との反応

 珪酸ソーダ(水ガラス)は、Ca、Mg、Al、Baなどの無機塩類と反応して、不溶性の珪酸塩金属水和物や珪酸などを同時に生成してゲル化します。

例)水酸カルシウムとの反応
Na2O・nSiO2・mH2O + Ca(OH)2 → CaO・nSiO22NaOH・mH2O (一部、SiO2になります)

 このような反応で得られる珪酸化合物は、珪酸と金属イオンの存在量に応じてさまざまな特性を示します。

有機化合物との反応

 多価アルコール(グリオキザールなど)や酢酸エステルは、ともにアルカリ存在下で酸を生成するため、珪酸ソーダとの反応により「珪酸ゲル」を生成します。

例)グリオキザールとの反応
(CHO)2 + H2O → CH2OH・COOH (グリオキザールがグリコール酸になります。)

Na2O・nSiO2・mH2O + 2CH2OH・COOH → nSiO2 + 2CH2OH・COONa + (m+1)H2O

備考:
エチルアルコールなどの有機溶媒を加えても固化しますが、これは単なる脱水によるもので、水を加えると再び溶解します。

炭酸ガスとの反応

 珪酸ソーダ(水ガラス)に炭酸ガス(CO2)を吹き込むことで、下記反応により「珪酸ゲル」を生成します。珪酸ソーダの水分を吸収する砂などとともに反応を進行させることで飛躍的に硬度が上がります。

Na2O・nSiO2・mH2O + CO2→ nSiO2 + Na2CO3 + mH2O